新型コロナウイルスパンデミック状態は

今も続いており、増え続ける肺炎

重症化により、世界の医療現場では

人工呼吸器エクモが不足しているという

報道が続いています。

 

また、志村けんさんが亡くなられ、

世の中が衝撃を受けました。

 

志村さんは、日本の最先端で最高の医療が

施されていただけあって、

訃報を聞いた全国の医療従事者も

驚いたニュースだったと思います。

 

今回は、そんな志村さんにも使用され、

新型コロナウイルス重症化した場合の

治療に不可欠な、人工呼吸器エクモ

について解説していきます。

人工呼吸器について

 

人工呼吸器とは、簡単に説明すると、

人間が普段意識せずに行っている呼吸

(自発呼吸)を補助、もしくは自発呼吸が

ない場合は代わりに肺に空気を入れたり

出したりする機械のことです。

 

自発呼吸では胸郭(胸)が広がることによって

胸腔内に陰圧を作り気管気道から

空気が入ってきます。

 

つまり空気を吸ったときに

肺胞内や気道の圧は上昇しません。

 

しかし、人工呼吸器を使用した場合、

空気を肺に機械的に押し込むことで、

空気を肺まで届け肺から酸素を吸収

できるようにしてくれるので、

自分で吸ったり吐いたり出来ない場合や

気道に問題がある場合でも、

呼吸が出来るようにしてくれます。

 

人工呼吸器の種類

出典:http://www.tch.or.jp/jinkoukokyuuki.html

 

人工呼吸器は各医療機器メーカーから

様々な機械が発売されており、

年を追うにつれて次々と新たな機能を備えた

ものが発売されています。

 

機械自体はたくさんありますが、

換気経路動作換気の種類は

根本的には変わらず、医療従事者が

使用しやすいように統一されています。

 

〇人工呼吸器が呼吸を補助する換気経路は

主に3つです。

 

  • 気管内挿管

緊急時・手術時に選択されることが多く、

最も迅速であり確実な気道確保です。

 

新型コロナウイルスによる肺炎に対しては、

基本的に気管内挿管が用いられます。

 

  • 気管切開

基本的に、気管内挿管が2週間以上となる場合

気管切開を行うことになります。

 

在宅や慢性期病院・施設での管理に向いています。

 

  • マスク

非侵襲的陽圧換気方(NPPV)であり、

上記2点と違い、体を傷つけることなく

装着でき着脱が容易です。

 

しかし、長期的に使用する場合には、

マスクの圧迫や密着による褥瘡(床ずれ)を

生じるリスクがあります。

 

また、気道食道を分けることが出来ない

胃に空気が入る・嘔吐した場合には

肺に吐物が入るリスクや、

高い圧がかけられないというデメリット

があります。

 

対象となる主な疾患は、

COPD・睡眠時無呼吸症候群・肺結核後遺症

神経疾患などです。

人口呼吸器が必要な状態とは

人工呼吸器を装着する場合には、

換気の確保

肺容量の増加

呼吸の仕事量を減少させる

この3つがあります。

 

つまり人工呼吸器必要な状態とは、

この3つのどれか(もしくは複数)が

必要な状態ですが、実際の現場では

この3つに加え、緊急時心肺蘇生後

自発呼吸がない場合人工呼吸器が必要と

なります。

 

簡単に説明すると、

何かしらの理由(原因)で、人工呼吸器による

機械的な補助がないと体の中の酸素の量が

維持できない場合や、肺がダメージ

受けているため機械的な補助を行い

肺の負担を減らしたい場合には人工呼吸器

必要となります。

エクモについて

 

出典:https://www.nikkei.com/

 

エクモ(ECMO)とは、

人工肺ポンプを用いた体外循環回路による

治療のことであり、extracorporeal membrane oxygenation(体外式膜型人工肺)という

機械の名称でもあります。

 

エクモでどんな治療をするのかというと、

患者さんから静脈血を取り出し、

ポンプを使用して回路へ血液を通して、

人工肺で酸素化二酸化炭素を除去

 

再度血液を患者さんの静脈または動脈

戻すことによって、肺を使わなくても

(肺が使えなくても)体に酸素を取り込み

二酸化炭素を排出することが出来ます。

エクモの種類

 

 

エクモにはVA-ECMOとVV-ECMOがあります。

 

  • VA-ECMO

VA-ECMOは、心肺の補助目的で導入。

 

血液の流れとしては、

Vは静脈でAは動脈なので、「V→A」つまり、

静脈から脱血して動脈に送血しています。

 

基本的には、大腿静脈に脱血管が入っていて

(脱血管の先端は右房のあたりにあり)、

静脈血を脱血し、

送血管は大腿動脈に入っており

先端は脱血管よりも短いので

腹部大動脈のあたりにあります。

 

血液の流れとしては、

右房→脱血回路→遠心ポンプ→人工肺→

送血回路→動脈となっています。

 

  • VV-ECMO

VV-ECMOは、呼吸補助目的で導入されます。

 

血液の流れとしては、「V→V」なので、

静脈から脱血して静脈に送血しています。

 

基本的には、

内頸静脈に脱血管が入っていて

先端は右房のあたりにあり、

送血管は大腿静脈に入っており

右房に向かって流れていますが、

足と首の総脱血が逆の場合もあります。

 

新型コロナウイルスによる肺炎の治療には、

主にVV-ECMOが導入され呼吸補助目的

使用されますが、全身状態が悪化した場合

VA-ECMOに切り替えられる場合もあります。

 

エクモが必要な状態とは

出典:https://www.emra.org/emresident/article/ecmo-in-the-ed/

 

エクモは、呼吸不全に対する治療

最終手段で、呼吸不全に対し集中治療

尽くしても生命を維持することが困難な状態

で必要とされます。

 

しかし、他の治療と同様、

誰もが出来る治療ではなく、適応と禁忌はあります。

 

〇適応

・マレイスコア>3、P/F比<80mmHg

・人工呼吸器管理日数<7日

・年齢<65歳

・可逆性の肺であること

 

〇禁忌

・不可逆性の基礎疾患

・末期がんの患者

・75歳以上

 

まとめ

人工呼吸器エクモの違いや

どんな時に必要になるかについて

解説してきましたがいかがだったでしょうか

 

新型コロナウイルスによる肺炎

重症化したら、人工呼吸器は必須であり

エクモは最後の砦となるため、

ニュースでは騒がれ、増産を急いでいる

という現状となっています。

 

1人でも多くの人に使用できるように

頑張って作っていただきたいところですが、

それ以前に私たちに出来ることは

新型コロナウイルス感染しないこと

感染させないことです。

 

緊急事態宣言が出たことにより

外出する人は減ったと思いますが、

全ての人が感染し感染させるリスクがある

ということを認知し、今私たちに出来る

人と関わらない」という最善の策を取るようにしましょう。