先日、4月12日にご逝去された

声優の藤原啓治さん。

 

先日、訃報に際してお知らせする記事を

執筆させていただきましたが、

数週間を経た今でも、

その存在感の大きさを感じ、

改めて胸を痛めております。

 

55歳という早すぎる死、

名優がまた一人旅立たれた寂しさ、

さらには癌という病気の恐ろしさに

やりきれない思いに包まれてしまいます。

 

私だけでなく、

今回の訃報を聞いて驚かれた方も

非常に多いと思いますが、

なかには

 

クレヨンしんちゃんのあの声の人だったんだ

 

だとか

 

アイアンマンの吹き替えの人なんだ

 

といったように、

初めて藤原啓治さんの

お名前を聞いたという方も

いらっしゃるのではないでしょうか。

 

一方で、アニメファン、声優ファンの間では

数々の話題作に出演し、

その演技力の高さや、独特のダンディーな声で、

男女問わず、かなりのファンがいた

超が何個もつくほどの人気の声優さんでした。

 

今回はそんな藤原さんを偲ぶ意味でも、

生前にご出演されていたテレビアニメ

おすすめの作品をいくつかピックアップして

ご紹介したいと思います。

 

藤原さんが遺された作品を見ることで、

皆さんの中に少しでも

一人の名優さんのことが

刻まれるのであれば、嬉しいです。

1991年『横山光輝 三国志』

27歳のときにご出演されていた

横山光輝さんの漫画版三国志のアニメ版。

 

近年でも日経新聞の電子版の

広告に起用されていたり、

ネット上では三国志漫画の

画像として非常に有名な作品です。

 

藤原さんが演じたのは

主人公である劉備に付き従う、

勇猛果敢な武人である張飛

 

声優としてデビューされてまもない頃、

20代後半頃の作品なので

近年ほどの渋みはありませんが、

豪傑である張飛をしっかりと

演じ切っています。

 

1992年『クレヨンしんちゃん』

こちらの作品については

説明は不要ですね。

 

1992年の放送開始時から

2016年8月まで、

主人公のしんのすけの父親である

ひろしを演じました。

 

劇場版の作品としては

クレヨンしんちゃん

爆睡!ユメミーワールド大突撃

最後の出演となっています。

 

先日のアニメ放送でも

藤原さんの訃報に触れていましたね。

 

最後の「しんのすけ〜!

の一言に思わず涙した方も

多いのではないでしょうか。

 

ちなみに余談ではありますが、

藤原さんの代役・後任として

ひろしを演じているのは、

森川智之さんという声優さん。

 

トム・クルーズ(本人公認)

キアヌ・リーブスの吹替え、

 

さらには犬夜叉の奈落や

ワンピースのゴッド・エネル

島耕作などを演じられています。

 

この方も多数の作品に

ご出演されている声優さんですので、

声に注目してみると面白いかもしれません。

 

1995年『ぼのぼの』

いがらしみきおさんによる

4コマ漫画のアニメ化作品。

 

主人公のラッコ「ぼのぼの」と

仲間が織りなす日常、

その中で繰り広げられる不条理なギャグや、

大人でも唸ってしまうほどの

哲学的な名言が癖になると

人気のアニメです。

 

今までに2回、

テレビアニメ化されていますが、

1995年から放送された第1作目に出演。

アライグマくんを演じています。

 

乱暴者で、主人公のぼのぼの達を

いじめるものの、

時折優しさを垣間見せる、

ドラえもんでいうところの

ジャイアン的な存在。

 

デフォルメされたアライグマの

可愛らしさ、乱暴な男っぽさ、

その中に同居した優しさを感じさせる

演技は当時からさすがの一言です。

2000年『はじめの一歩』

週刊少年マガジンで

1989年より現在まで連載中の、

森川ジョージ先生原作のボクシング漫画。

 

いじめられっ子だった少年

幕之内一歩」がボクシングに出会い、

ひたむきにプロの道を駆け上がっていく

スポーツ漫画の王道作品。

 

そのアニメ版で藤原さんは、

主人公である一歩のジムの先輩、

木村達也を演じました。

 

木村は目立った特徴があるわけではないですが、

安定した試合をするような選手。

しかしボクシングへの情熱の深い、

熱い男の役です。

 

なかでも

はじめの一歩 間柴vs木村 死刑執行』は

主人公格のキャラクター同士の

戦いでないにも関わらず、

原作ファンからの人気が非常に高いため

単独でビデオ作品が発売された作品。

 

「はじめの一歩」の魅力

これでもかというほど詰まっており、

この作品だけ見ても

十分楽しむことができるでしょう。

 

男と男の拳と魂のぶつかり合いが

藤原さんらの名演と共に描かれていますので、

ぜひとも一度ご覧いただきたい作品です。

 

2001年『ヒカルの碁』

ヒカルの碁』は週刊少年ジャンプにて

連載されていた少年漫画。

デスノートバクマン。で知られる

小畑健さんが作画を務め、

2000年頃に囲碁ブームを巻き起こしました。

 

あらすじを紹介しておくと

平安時代の最強碁打ちである

藤原佐為(ふじわらのさい)

取り憑かれた主人公、ヒカルは

インターネットの碁打ちで圧倒的な力を見せ、

注目を集めてしまいます。

 

そしてヒカルと同い年ながら

既に天才棋士である「塔矢アキラ」を

佐為の力で打ち倒してしまった

ところから始まるドラマ。

 

このドラマは二人を主軸としながら、

アキラの父親であり

最強棋士の「塔矢行洋」ら周囲の人物を

巻き込みながら展開していきます。

 

囲碁」というマイナーだった遊びを

ブームを巻き起こすほどまでに押し上げたのが、

魅力的なキャラクターの数々と、

それらが織りなすドラマの、

少年漫画とは思えないほどの重厚さ

 

是非とも一度ご覧いただきたい作品です。

 

藤原さんは本作品にて

塔矢アキラの兄弟子である

緒方精次を演じています。

 

2003年『鋼の錬金術師』

荒川弘先生による

少年漫画が原作のアニメーション。

 

2003年と2009年に2度もアニメ化されおり、

連載当時、一大ブームを巻き起こしました。

 

錬金術」と呼ばれる

物質の姿形を変える魔法のような

技術が存在する世界で、

死んだ母親を作り出そうとした兄弟が、

その失敗による反動で奪われた体を

取り戻すための旅をするお話。

 

ダークファンタジー」という

ジャンルでありながら

シリアスとギャグのバランスが非常によく、

伏線の張り巡らされたストーリー

テンポよく進行していきます。

 

あのキャラクターの正体がこれ?!

あの台詞はこういうことか!

といった驚きと笑いに満ちた作品で、

まさに少年漫画の金字塔と言えるでしょう。

 

そんな本作で藤原さんが演じたのは

マース・ヒューズ」という国軍の中尉。

物語の最序盤から登場し、

良き理解者として主人公らをサポートします。

 

全巻通しての登場機会は

それほど多くないのですが、

非常にキレ者であり策略に長けた点が

とても魅力的であること、

 

さらに妻と子を想う姿勢などがファンの胸を打ち、

人気投票で10位以内に入り続けるなど

かなりの人気キャラクターです。

2005年『交響詩篇エウレカセブン』

これまで漫画原作の作品を

多数紹介してきましたが、

こちらはアニメオリジナル作品。

 

2005年から全50話が放送され、

さらに2017年からは新たに

劇場版が制作され続けている、

こちらも人気シリーズです。

 

地球ではない惑星で描かれる

ロボット同士の戦い

そしてその星の歴史や、

登場人物達の思惑が

複雑に絡み合うドラマが魅力。

 

そして何よりの見どころは

主人公たちの成長と、

ヒロインとの出会い

まさにボーイミーツガールならではの

ときめき、ドキドキ、感動が

詰まった作品となっています。

 

藤原さんが演じるのは、

ホランド・ノヴァクというキャラクター。

 

主人公が所属する組織のリーダーで、

子供っぽいところがありながらも

冷静さと大胆さを兼ね備えた人物です。

 

藤原さんの、

大人でダンディーでありながら

危険な雰囲気を纏った声が

とても魅力的な役でしたね。

 

2011年『青の祓魔師』

「祓魔師」は「エクソシスト」と読みます。

 

人に危害を加える悪魔と、

それらを祓う「エクソシスト」との

戦いを描いたファンタジー作品。

2009年から現在に至るまで

ジャンプスクエアにて連載されており、

既刊は24巻。

 

2011年と2017年の2回、

テレビアニメが放送されました。

 

藤原さんが演じたのは、

主人公兄弟の育ての親であり、

本作の鍵を握る人物

藤本 獅郎(ふじもと しろう)

 

普段の様子は一見すると

いわゆる「ダメ親父」のような

キャラクターなのですが、

本気を出すと最強で頼り甲斐のある父親

という藤原さんの演じるキャラの

真骨頂のようなキャラクターでした。

 

2014年『PSYCHO-PASS サイコパス』

2012年に放送されていた

PSYCHO-PASS サイコパス』という

アニメの第2シーズンとして制作されました。

 

一作目は「踊る大捜査線」の監督として

名高い本広克行さんが総監督を務め、

魔法少女まどか☆マギカ』などで

知られる虚淵 玄(うろぶち げん)さんが

脚本家として参加したことでも

話題を呼びました。

 

踊る大捜査線」と同じく

警察の活躍を描いた作品になりますが、

ストーリーはダークで、ハードボイルド。

 

近未来SFのような世界観を軸に、

非常にシリアスな展開が続く作品です。

 

人間の心理状態を現した数値

PSYCHO-PASS(サイコパス)」と、

犯罪を起こした、または起こしかねない

人物に高く現れる「犯罪係数」が

常に測られている近未来。

 

そういった監視社会のなかで

発生する犯罪を取り締まるために

組織された「公安局」に所属する

刑事達の活躍を描きます。

 

藤原さんが演じる

東金朔夜(とうがね さくや)は、

主人公達とともに「公安局」に所属する

キャラクターなのですが、

何かを感じさせる存在。

 

回を重ねるにつれてその思惑異常性

どんどん明らかになっていきます。

 

ハードボイルドな刑事モノ

または近未来のSFが好みだという方には

文句なしにお薦めできる作品です!

 

2014年『テンカイナイト』

テンカイナイト』は、

男児向けのおもちゃをベースとした

ロボットモノのアニメ作品。

 

日本とカナダのおもちゃ会社

合作によるアニメ作品です。

 

レゴブロック状に折りたたまれた

パーツを「展開」することで

ロボットへと形状が変化する

玩具が同時に発売されました。

 

日本ではそれほどのブームには

至らなかったようですが、

北米では売り切れが続出するなど

大人気となったようです。

 

子供向けの作品ですので

なかなか見るきっかけも少ないと思いますし、

玩具も今からだと

手に入りにくいかもしれません。

 

しかし玩具のクオリティーもなかなか高く、

アニメ自体もワクワクする展開

目白押しですので、

今から見ても損はない作品となっています。

 

ちなみに藤原さんは

同じ玩具会社の制作であり、

本作同様、玩具と同時に

展開されていたアニメ

爆丸バトルブローラーズ』(2007)にも

出演されていましたね。



2015年『うしおととら』

漫画家、藤田和日郎さんによる

傑作少年漫画が原作。

漫画は週刊少年サンデーにて、

1990年から1996年まで連載されました。

 

妖怪退治の槍を手にした

主人公「うしお」と

妖怪「とら」がともに戦う物語。

 

登場キャラクター達の因縁、

そして宿命が折り重なり、

終着点に向けて息つく暇なく展開する

緻密かつ壮大なストーリーが魅力。

 

その構成やストーリー展開は

非常に評価が高く、文化庁による

日本のメディア芸術100選

にも選出されるなど、

名作漫画として今なお語り継がれています。

(先述の『鋼の錬金術師』も選出)

 

藤原さんは主人公うしおの父親である

蒼月紫暮」を演じ、

時には優しく、時には冷酷と呼べるほど厳しく、

息子を導く役割を担いました。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

数々の有名作品を挙げましたが、

これらはあくまで

出演作品のほんの一握り

 

多数の作品の中に、

そしてキャラクターの中に

藤原さんの声が生き続けています。

 

 

しかし、こうして改めて見てみると

父親」のような存在の役が

とても多かったのだと再認識します。

 

ダンディーで落ち着いた声の中に

大人の優しさや危うさ、色気、

そしてユーモアを含みつつも、

時に厳しく、時に優しく

包み込んでくれるような藤原さんの声は

お父さん役にぴったりだったのかもしれません。

 

また、ファンの方の中には

この作品のこの役が一番好き!

挙げられるいう方も多いはず。

 

それはそれだけ藤原さんが

多くの役を演じてきたという証拠でもあります。

 

それらの作品を見返すことで、

藤原さんの声や演技の魅力、

そしてキャラクターを通して受け取った思い

もう一度心にとどめておきたいと思います